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中小製造業の経営改革(U株式会社様)

コンサルティング

中小製造業の経営改革(U株式会社様)

対象企業の概要

業種      :自動車部品の製造業
主なお困りごと :現行の評価制度による社内のモチベーション低下
改革・改善テーマ:人事制度改革
コンサルタント :高橋 宏誠(たかはし こうせい)

当初のお悩みごと

U株式会社(以下「U」とする)の社長は、「厳しい競争を勝ち抜くには、グローバルスタンダードによる合理性・納得性の高い」人事制度の構築こそ最重要経営課題と考え、成果主義人事制度(役割等級制度)を導入していた。

しかし、等級基準や評価基準が十分に明確でなかったために適切な評価がなされず、年功的な運用になっていました。
また、評価者によって評価が大きく異なっていたことが問題でした。

たとえば、本来は貢献度に応じた評価をするのであれば、「行ったこと(行っていること)」に対して評価をすべきですが、被評価者が「~できること」で評価をしており、評価者が評価を正しくできる仕組みがなかっため、従業員からの不満が多く、モチベーションが低下しており、自動車部品ビジネス自体は発展しながらも組織としての活力は低迷していた。

また、離職者が出るたびに採用に注力せざるを得ず、人事は制度見直しに向ける時間的余裕もなかった。

解決策

解決策の概要

  • 部門の管理職や労働組合の責任者にも参加してもらってチームを結成し、問題解決策の代替案を提示して議論しながらプロジェクトを進行。
  • 「同一価値労働・同一賃金」を基本とし、一人ひとりの貢献度に応じた「完全実力主義」に転換するべく、一般社員向けに新しい制度を構築。

1)等級制度について

等級制度は、職群別職務等級とした。営業、開発、管理など5つの職群を設定し、等級間の差異が明確になるようそれぞれの職群を3等級とした。

等級要件自体も基準が明確になるよう、3の等級毎に期待する成果とプロセスについて基本定義を定めた上で、レベルをイメージできるよう業務の典型例とそれに対する期待成果の例を記述した。

2)評価制度について

評価制度については、業務を定常業務と非定常業務に区分し、定常業務部分は標準化し、それぞれの業務に評価基準を設定して成果行動基準体系書として整備、明示された評価基準により達成度を3段階にてオープンに評価することとした。

非定常業務(10%未満)には課題を設定し、達成度を評価することとした。

評価基準は、管理職との部下の間ですり合わせた上で設定。
その結果、評価者による評価の違いはほとんど出なくなった。

達成度の評価は、組織横断的な公平性を担保する必要性もあり、職群間の共通基準としてコンピテンシー(ハーバード大学教授が開発した、仕事で成果を上げる人の包括的能力の絶対基準)の土台となる達成志向性(レベル2,3,4)を用い、3段階評価(C, B, A)とした。

3)給与制度

給与制度では、職群・職務等級別に基本給のレンジを設定し、その範囲で毎年の評価に応じた昇給・降給を行うこととした。

給与水準は、職群毎の市場価値に見合ったものとし、労働市場における実態を踏まえ、経営側・労働者側(労働組合)両者納得の上で設定した。

各レンジ内では、その人の給与額がレンジのどの位置にあるかによって昇給額が変わる「メリット昇給」の仕組みを取り入れることによって「同一価値労働・同一賃金」を実現した。

結果

達成度を3段階にてオープンに評価。
評価基準は、管理職との部下の間ですり合わせた上で設定したため、評価者による評価の差異がなくなり、当初問題になっていた従業員のモチベーション低下が改善し、自発的に考え行動する従業員が増えた。

離職率も下がったため、制度見直しに向ける時間的余裕も生まれ好循環が発生するようになってきました。

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