製造業の安全教育とは?
労働災害を事前に予防するための具体策
生産性や生産効率は、製造業の売上を維持するためにとても重要な要素です。効率的な生産のためのIT化は、製造業にとって喫緊の課題となっています。
一方で製造業では、入念な安全教育もおろそかにできません。労働災害への対応は、製造業の事業運営にも関わる重要なウエイトを占めています。
本記事では、製造業の安全教育全般について紹介しています。製造業の組織運営を考える際の重要事項を確認してみましょう。
製造業における安全衛生教育とは
安全衛生教育は、労働災害を未然に防ぐために、入職する労働者へ向けて必要とされる安全衛生の知識を伝えるための研修です。安全衛生教育は、労働安全衛生法などの法令に基づいて定められています。
現場の状況は常に変化しておりとても流動的です。安全衛生教育は、作業に慣れていない労働者の加入への対応や、緊急事態に適切な行動を取るためにも欠かせません。
近年増加しつつある外国人労働者に対しては、母国語を用いて、見た目にわかりやすい資料を用意するなど、労働内容について一定の理解を得るための努力が必要です。
職長への安全衛生教育
従業員を監督、指導する立場にある職長への安全衛生教育は、所定の時間以上行うことが義務付けられています。
一般的に工程の職長は、労働者を指揮、監督するための職長教育を受講しています。職長の資格がないままに職長の職務をこなしているケースもありますが、上場企業の工場では、無資格で指揮監督を行っている職長は存在しません。
現場を担う重要な職権を持つ職長には、おおむね5年ごとに労働災害の動向や、技術に関する現状の把握、職場環境の変化に対応した能力向上教育などの講習受講が義務付けられています。
講習の内容は以下のとおりです。
1.作業方法の決定及び労働者の配置に関すること
2.労働者に対する指導又は監督の方法に関すること
3.危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置に関すること
4.異常時・災害発生時における措置に関すること
5.その他現場監督者として行うべき労働災害防止活動に関すること
製造業の現場ではおなじみの労働災害防止活動を以下に紹介します。
1.安全衛生実行計画の作成・実施
2.職場巡視
3.危険予知(KY)活動
4.ヒヤリ・ハット活動
5.4S(5S)
細かい内容は異なるものの、多くの製造業の現場で日々行われている安全のための活動です。上場企業の大きな工場では、しつこいほどに繰り返されています。
適切に安全活動が行われていない製造現場は、安全管理を早急に見直したほうが良いでしょう。
また、現場での指導の一助となるように、別途指導及び教育の8原則という原則も定められています。
1.相手の立場にたって
2.動機づけを大切に
3.やさしいことから、難しいことへ
4.一時に一事を
5.反復して
6.身近な事例に結びつけて、強い印象を与える
7.五感を活用して
8.手順と急所の理由をいって
スマートファクトリー化が進む現代において、昔の安全教育や指導法は形骸化するのでは?という考え方もありますが、労働災害への基本的な取り組みは変わりません。
中でも職長が担う責任は重大です。
職長の能力によって、現場の安全が維持されるといっても過言ではないでしょう。
まとめ
製造業の労働災害を防止するにあたって、安全教育はとても重要です。中でも、現場を取り仕切る職長の安全教育はより重要度を増しています。
生産効率の向上に気を取られて、大事な安全管理がおろそかになってしまっては元も子もありません。
製造業の基本とも言える安全教育は、日々抜かり無く行うよう、心がけておきましょう。